小説の中のバラ4 星の王子さま

星の王子さま
星の王子さま

星の王子さま LE PETIT PRINCE 1946年 アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ

星の王子さまのバラ

星の王子さまは子供の頃何度も読んだ。

ゾウをのみこんだウワバミの絵や気むずかしいバラとの関係などが、印象に残っている。

星の王子さま

星の王子さま

バラを育てるようになり、ふと、星の王子さまのバラの品種が気になってきた。

外観などに関する文中の描写はわずかだし、バラの絵は葉もなく簡単に描かれていて何の花かよく分からないほどだ。このバラは妻コンスエロのことだという説も有力であり、バラのどの品種かなど考える意味はないのだろう。

しかし、サン=テグジュペリの出身地リヨンは、フランスのバラ育種メーカー、ギヨーやメイアンの一族の出身地でもあり、フランスのバラの中心地ともいえる場所である。バラに興味がなかったとしても、身近にバラがある環境に育ち、どこかで見たバラをぼんやり思い浮かべるくらいはしていたかもしれないので、しつこいようだが、もう少し考えてみた。

この本の出版が1943年。また、文中の描写や挿絵から読み取れる特徴をあげてみる。

  • あまり大きくないこと
  • 中輪~大輪であること
  • 4つのトゲがあること(トゲがない品種ではない)
  • よい香りで中香~強香のバラであること
  • 一重ではないこと(挿絵)
  • 濃いラベンダーピンク(挿絵の色)

さて、画像や写真を見ることができた品種の中から、特徴に合う1943年以前のバラを独断で2つに絞ってみたが、どうだろうか。

オーガスティーヌアレム Augustine Halem 1891年 フランス 四季咲き 中香 ハイブリッドティー

マダムルナイー Madam Renahy 1889年 フランス 四季咲き 強香 ハイブリッドパーペチュアル

オールドローズはつる性で大きくなるバラが多いので、1940年頃までの小さめのバラというとわりとしぼられてくる。どちらもギヨーのバラであり、サン=テグジュペリが目にしていたとしても不思議はない。さらに、このどちらかでいえば、強香種であることと女性名であることで、マダムルナイーを推したい。

星の王子さまのバラがあれほど気むずかしいお姫様ぶりなのに、男性名だとそぐわないではないか。

デルバールの2つのバラ

フランス、デルバールのバラに、星の王子さまに関係する名のバラがある。

ローズシナクティフ Rose Synactif 別名 Le Petite PrinceLa Rose du Petit Prince 1999年 フランス Delbard

ローズシナクティフの画像はこちら(デルバールJAPONのサイト)

別名が、「Le Petite Prince」。このバラは何度か改名しており、エモーションブルー、ローズシネルジックの名でも知られている。紫系の美しいバラだ。

サンテグジュペリ Saint-Exupery 2003年 フランス Delbard 

サンテグジュペリの画像はこちら(デルバールJAPONのサイト)

星の王子さまの作者の名のバラ。これは、ローズピンク、中香で花付きがよいと紹介されている。

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