ヘレン Helen 2016年 日本 木村卓功
一段と立派な花に
今年は、春先から警戒していたので、ブッシュ仕立てのバラのバラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)は最小限に抑えることができたようだ。誘引してあるバラの高いところは、どうしても退治しきれないが、その辺りは半分あきらめ気分である。
ヘレンの花芽はほぼ維持できて、花数もそこそこ多かった。
ゴールデンウィーク中に一斉に咲き出した。
急に気温が上がったので、どんどん咲き進む。
多くのバラがそうだが、ヘレンも、蕾から咲き始めのあたりは本当にほれぼれするほど美しい。
咲き始めは色が濃い。
春は風が強い日が多く、外側の花弁の傷みが多いのが惜しい。
高芯咲きのバラと違って、開くとロゼット咲きとなり、花の終わり頃まで美しさを保つ。
何拍子も揃ったバラ
香りもよく、花持ちもよく、病害虫にも強く、いうことなしのバラである。
その割には、「ヘレンが一番好き」という人が周りにいないのは、不思議といえば不思議であり、分かる気がするといえば分かる気もする。私自身の好きなバラのランキングでも、ヘレンはそれほど上位にこない。
しかし、ヘレンのようなバラがあると、あたりが華やかになり気分も明るくなるようだ。
ヘレンの香りは、ダマスクにフルーツとティーの強香とある。バラの香りといわれて、思い浮かぶような香りだと思う。
咲き進むとボリュームが出てくる。
ヘレンは、ギリシア神話でトロイア戦争の原因となった、世界一の美女の名であるが、こうなるとちょっと貫禄が出てしまった感がある・・・。
ヘレンは、咲いているところを見て気に入って購入したバラだが、ロサ・オリエンティスには、他にもエウリディーチェやエンデュミオンなど、美しく、四季咲きで病気にも強いバラが多く、どれが一番よかったかなと思うこともある。無限に植えることはできないので、悩ましいところだ。
病害虫に強く育てやすい
ヘレンは、初期生育はゆっくりめだが、その後は安定した成長ぶりである。
葉も花もしっかりしており、アブラムシも他のバラよりつかない。見たところでは、アブラムシは、茎も花芽もほっそりした品種に多いようだ。
花芽が出てしばらくはバラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)に注意が必要だが、ある程度蕾が大きくなるとバラゾウムシもつきにくくなるようだ。
ヨトウムシにも要注意だが、これまでに何度か退治したらヨトウムシが減ったようで、今年は被害が少なめだった。
薬剤散布が足りないのか、黒星病が少し出ることがあるが、他のバラよりも病気に強く、ダメージは小さい方だ。
花持ちがよく花弁も落ちにくいので、花が終わる頃に花がらを切るとすっきりする。なるべくラクをしたい人には、こういうところも重要である。
あまり手をかけていないが、何の問題もなく、育てるのがラクな方のバラだと思う。
四季咲きで、秋の花も美しい。気温にもよるが、かなり遅い時期まで楽しめる。
手間がかからず、美しく華やかで、花持ちもよく、香りもよく、秋バラも楽しめる、おすすめの品種だと思う。