アブラムシは4月頃から現れ、放っておくとあっという間に増える。見た目が悪いだけではなく、汁を吸われたり、病気を媒介されたりしてバラが弱るという害虫だ。
アブラムシを見かけると粘着テープで捕ったり、デンプン由来の薬剤「粘着くん」をかけたりしているが、それだけでは大変なので、食べてくれる昆虫がいると助かる。
アブラムシを捕食する昆虫にはテントウムシ、クサカゲロウの幼虫、ヒラタアブの幼虫などがいる。どれもよく見かけるが、テントウムシ以外はよく知らなかったのでその存在にあまり気づいていなかった。特にヒラタアブは名前も成虫も幼虫も、バラを育てるようになる前は知らなくて、バラの葉や蕾についている幼虫を見たときも、「なにこれ、気持ち悪いウジムシ!」と思っていた。しかし、その幼虫がいる葉には食べられた跡がないので、葉を食べる幼虫ではなさそうだと思って調べてみると、なんとありがたいことに、アブラムシを食べる「ヒラタアブの幼虫」だとわかったのだった。
今回はヒラタアブの幼虫の紹介。画像もあるので、ムシが嫌いな人は閲覧にご注意ください。
ヒラタアブの卵と小さい幼虫
ヒラタアブは、ハエ目、ハナアブ科、ヒラタアブ亜科に属する昆虫。よく見るのはヒメヒラタアブ、ホソヒラタアブだと思うが、いずれも1㎝前後で腹部に黄色と黒のシマがある。成虫は花の蜜を吸う。
冒頭の画像は、昨年春に撮ったジャクリーヌ・デュプレ。ヒラタアブが花の蜜を吸いにきているところだ。
今年2019年こそは、テントウムシもヒラタアブも大事にしようと思っていたところ、4月中旬に、アブラムシがたくさんついている蕾に白い細長い卵がついているのを発見。これはもしやヒラタアブの卵か?と、とらずにそのままにしておいた。葉を食べるムシだとわかれば、そのときに退治すればよいのだ。
まず卵の画像。4月下旬に別の蕾を撮影したもの。
卵の長さは1㎜ほど。ヒラタアブなら卵から孵ったら食べてくれるはずと、たくさんいて気持ち悪いがアブラムシも捕らずにそのままにしておいた。
その後も気にして見ていたところ、卵のついている蕾で、小さなヒラタアブの幼虫がアブラムシを捕まえているらしきところを発見。幼虫は小さめのアブラムシと同じくらいで、小さすぎて見づらい。そこで、写真を撮って画像をみたら、まさにアブラムシを捕獲中。うわー。こんなに小さいのに自分より大きなアブラムシを食べられるのだろうかと思ったが、どうやらまるごと食べるのではなく噛みついて吸っているように見えた。
下の画像ではヒラタアブの幼虫が小さくてわかりにくいが、蕾の真ん中より少し先端よりのところにいる。
拡大してみるとこんな感じ。
ヒラタアブの幼虫あれこれ
ヒラタアブの成虫は種類が多くて見分けにくいようだ。普段よく見かける成虫は、多分、ヒメヒラタアブかホソヒラタアブだと思うが、よくわからない。
幼虫の外見もいろいろで、種類によるのか成長の段階によるのかもよくわからないが、とにかくそれらしきムシを見かけたらそのままにして、間違えて捕ってしまったらなるべくもとに戻している。
昨年よく見たのは、半透明で中が黒っぽいタイプで今年も多い。
今年は、少しトゲトゲしたタイプのも見かける。見た目は不気味だが、葉や蕾の食害がなく、周囲にアブラムシがいない。ヒラタアブの幼虫は大食漢のようで、たくさんいたアブラムシは気がつくといなくなっており、ヒラタアブの幼虫も、見違えるように大きくなっていたりする。
下の画像のバラの蕾はバレリーナ。バレリーナにもアブラムシが多い。
ヒラタアブの幼虫。アブラムシを捕獲中に見える。蕾はウィリアムモーリス。
ヒラタアブの幼虫。拡大写真。
これからの時期はテントウムシにも期待
今年2019年の東京では、4月から5月2週目まで昨年より涼しい日が多かったようだが、そのせいか、アブラムシも急に大発生ということもなかったようだ。ヒラタアブの幼虫が補食するのと、時々粘着テープで捕ることで、今のところ、手の届く範囲のアブラムシは割と退治できている。バラの一番花の後、暑くなった頃にも増えるので、引き続き注意が必要だが、これから増えてくるテントウムシの活躍にも期待している。
昨年2018年は、バラの調子の問題なのか気候のせいなのか、春先からアブラムシが結構多かった。特にアイスバーグとルドゥテに多かったのだが、今年の4月は昨年の4月よりは少なかったように思う。アイスバーグもルドゥテも今年は元気いっぱいで、害虫もつきにくいようだ。
クロケシツブチョッキリもやっかいな害虫で、花芽が小さいうちや新芽が出たばかりの頃にやられると開花数が減ってしまうので4月中が要注意である。昨年春はどのバラもかなりやられたのに懲りて、秋から今年の春はかなり気をつけて、見つける度に捕殺していたら少し数が減ったのか、今のところ手の届く範囲の蕾はわりと害を受けていない。ロココやローゼンドルフシュパリースホープなどは枝が高く伸びて、上の方は全然手が届かなかったので、クロケシツブチョッキリの被害がかなりあったのが残念だ。