バラの害虫の一つにアブラムシがいる。春先から目につき、気がつくとあっという間に増えてしまう。
アブラムシを見つけると、手で捕る、ガムテープで捕る、デンプン液「粘着くん」をかけるなどの対策をとっている。無農薬栽培を目指しているわけではないが、オルトランなどの薬剤は、耐性がつくとやっかいであるし、アブラムシを食べるテントウムシなどの益虫に害があると困るので控えている。
今年は、アブラムシを餌にするヒラタアブの幼虫やテントウムシのおかげでラクができた気がする。ヒラタアブの幼虫やテントウムシがいる株では、目に見えてアブラムシが減るのである。
今回はテントウムシの幼虫の写真を載せているので、虫が嫌いな人は注意。しかし、ガーデニングでアブラムシに困っている人は、見分けられた方がよいと思う。見た目はちょっと気持ち悪いので、テントウムシの幼虫と知らずに退治してしまうかもしれない。私も、初めは「気持ち悪い虫がいる!」とビックリしていたが、今は大事にしている。脱皮する度に見た目が変わるので、全部の段階の姿を知っておくとよいだろう。
テントウムシ
テントウムシの多くは幼虫も成虫もアブラムシを餌にしている。例外は、ナスやトマトの葉を食べるニジュウヤホシテントウ、オオニジュウヤホシテントウというホシの数が特に多い種類。バラの近くではあまり見かけない。
今年(2018年)は、昨年よりも明らかにテントウムシの成虫・幼虫が増えた。おそらく、バラとアブラムシの存在に気づいたテントウムシが寄ってきて繁殖しているのだろう。バラを育て始めて間もない昨年はまだ、テントウムシの幼虫を見る度に気持ち悪いと思っていた。しかし、今年はいろいろな段階の幼虫をたくさん見て慣れてきたうえ、アブラムシが減るので、見かけると「たくさん食べてね」という応援と感謝の気持ちになる。
まず、よく見かける大きさのテントウムシの幼虫。これは2018年5月27日、ルドゥテの新芽にとまっているところ。多分3齢幼虫。
卵から生まれてすぐを1齢幼虫、その後脱皮する毎に2齢幼虫、3齢幼虫、終齢幼虫と呼ぶ。終齢幼虫はやがてさなぎになり、成虫となる。卵から成虫になるまでおよそ1ヶ月かかる。
下はアップの写真で大きく見えるが、多分2齢幼虫。実際の大きさは3~4㎜くらいか。まさにアブラムシを捕食中。
シャトードシュベルニーの葉の裏で見つけた、テントウムシの卵の抜け殻。肉眼では、何の卵かは分からなかったが抜け殻とは思わなかった。縦1㎜あるかどうかの大きさ。撮影して画像で見て初めて抜け殻だと分かった。
で、どうしてこれがテントウムシが出てきた卵の抜け殻だと分かったかというと。
シャリファアスマの葉の裏に、生まれてまもないテントウムシの幼虫が! 卵の抜け殻に群がっている! 画像で見るとちょっと気味が悪いが、これも肉眼ではかなり小さく、体長1㎜あるかどうか。ちょうどアブラムシくらいの大きさで、夫は最初黒いアブラムシだと思っていた。脚の感じや卵の殻の近くにいたことから「ひょっとしてテントウムシでは?」と思い当たり、撮影して画像で見てはっきりしたのである。
今度から、黒いアブラムシと思っても、退治する前によく見ることにしよう。
こうなると、抜け殻でない卵も見たいと思っていたら、セプタード・アイルの葉の裏に卵発見。
終齢幼虫は体長1㎝前後と大きいのでよく見かけるが、今年は写真を撮っていない。昨年撮った写真。不気味な姿だが、アブラムシを食べてくれると思うとありがたい。
さなぎの写真も昨年撮った写真の中にあった。夫が、動かない変なテントウムシと思って写真を撮っておいたが、はっきりさなぎとは知らずにいたらしい。
余談だが、バラの品種や植栽場所によってもアブラムシのつき方は少し違うようだ。我が家で一番アブラムシがついているのは、多分、イングリッシュローズのルドゥテだろう。新芽、花芽、葉裏にたくさんいて、捕っても捕ってもしばらくして見るとまたいる。アイスバーグは新芽や花芽にたくさんつくが、葉裏にはそれほどでもない。セプタード・アイル、アブラハムダービー、シャリファアスマなどは、新芽、花芽、葉裏のあちこちにいるが、まめに捕っていると減っていく。いくつかの新芽や花芽にたくさんついていることがあるが、一度捕るとその後はぐっと減るのが、ジャクリーヌ・デュプレなど多くの品種。終始少なめなのが、ウィリアム・モリス、ウォラトンオールドホール、ラ・ドルチェヴィータ、ヘレン、オデュッセイアあたり。
ヒラタアブのさなぎとクサカゲロウの卵
今年は、ヒラタアブの幼虫も多かった。写真を撮るのを失念したので、アップできないのだが、さなぎがいたので撮っておいた。
幼虫は通常葉の裏にいて、もう少し白っぽい半透明で体の内部が黒っぽい。これも慣れないうちは気味が悪く見えるが、近くの葉が食われていないので、葉を食べる虫ではないと分かる。アブラムシを捕まえて食べているところも何度か目撃した。ありがたいことだ。
ほかにも、クサカゲロウの幼虫もアブラムシを食べるらしい。こちらは、まだあまりよく観察できていないが、卵があったので撮っておいた。1㎝ほどの長さの糸の先についている。
息子に見せて、なんとかカゲロウの卵だよ、とあやふやなことを言うと「クサカゲロウ。図鑑に出てたよ。」と教えてくれた。こういうことは息子の方が覚えている。
息子の関心は、バラよりもアサガオや野菜の方に向いているが、「庭で変な虫を見たら言ってね。」と頼んである。見つけたら「チュウレンジハバチがいたよ」などと教えてくれるので助かる。