2021年、第4回ABEMAトーナメント が9月に終わった。優勝は、藤井三冠(チーム結成時:二冠、決勝時:三冠)率いるチーム藤井:最年少+1。メンバーは、2020年10月に棋士となったばかりの新鋭伊藤匠四段、高見泰地七段(叡王1期)。
団体戦という、公式戦にはない形式が面白く、次回も楽しみである。
ABEMAプレミアムにも登録
ABEMAプレミアムにも、ついに登録してしまった。
ABEMA TV の藤井三冠の対局は基本的に無料で見られるので、プレミアム会員にはならずにいたのだが、プレミアム会員でないと見られないABEMAトーナメントのチーム控え室動画が楽しそうで、見てみたくなったのだ。
ABEMAプレミアムは、初回登録後2週間の無料視聴期間があり、視聴期間が終わる日時の1日前(時刻にも注意)までに解約すれば料金がかからずにすむ。
プレミアム会員になってみると、ABEMA トーナメント以外も、「炎の七番勝負」や「朝日杯」など過去の番組も見られるので、将棋しか見るつもりがない私でもそれなりに楽しめる。
また、将棋のタイトル戦をマルチアングル放送で見ると、コマーシャルが入らないのが意外とよかった。コマーシャルの間は、解説の音声は入らず、対局室が映っているだけなのだが、興味のないCMが終わるのを待っているよりも平穏である。
ABEMAプレミアムに登録した後も、タイトル戦のマルチアングル放送をどうやって視聴するのかわからずとまどったりしたが、ビデオの番組からタイトル戦のマルチアングル放送の番組を選んで、購入するのだった。慣れないうちは目当ての番組が見つけにくく、また、マルチアングル放送を「0円で購入する」を選ぶのが変な感じで、今でも慣れないが、実際、「0円」の番組では追加料金はかからない。
SUNTORY 将棋オールスター東西対抗戦の予選も見てみた。普段見る機会のない桐山清澄九段の対局を見られたのは貴重だったし、澤田真吾七段が、福崎文吾九段の手番で対局時計(チェスクロック)のボタンを押すのが間に合わなそうなところを、代わりに押したシーンでは、何が起こったのかと思った(間に合わずに、福崎九段は切れ負け)。(Number Web の記事でも触れられている。)
「7二銀で詰みますよ!」藤井聡太三冠のスゴさと大はしゃぎに癒やされる・・・観る将マンガ家が描く《9月の将棋ハイライト》
このSUNTORY 将棋オールスター東西対抗戦の予選は、視聴期間が短めで、この関西Aブロックの予選などは、視聴期間が終わってしまったのが残念である。
チーム動画 控え室動画
控え室動画は、どのチームの棋士も、対局や解説で見るよりもリラックスした姿が見られるのが、なかなか楽しかった。
チーム藤井も、予選の1戦目の頃は、伊藤四段はまだ緊張のためか表情も固く、藤井三冠(予選時:二冠)も口数が少なめで、高見七段が気を遣って話をしている雰囲気だったのが、本戦トーナメントに入った頃にはかなり打ち解けていた。勝ち進んでいったことで落ち着いたというのも、あるかもしれない。指し手に突っ込みを入れたり、素人にはよくわからないツボで笑っているところ、伊藤四段の勝ちだと思って他の二人でハイタッチした後に伊藤四段が一手詰めを見逃し、二人で動揺したり(結局勝った)など、いろいろ面白かった。
他のチームの控え室動画も結構見た。例えば、チーム広瀬は、メンバーの人柄か控え室も穏やかで、公式の写真では強面に見える丸山忠久九段が終始ニコニコしており、北浜健介八段にカロリーメイトを勧めたりしているのには和んだ。対局前に、広瀬章人八段「どういう作戦でいきましょうか」、丸山九段「まあ、予想どおりの」(一手損角換わりで)とニコニコしているやりとりも、よかった。
また、チーム菅井では、準決勝の前日にパワーストーンを抱いて寝たという深浦九段が、藤井二冠との対局を喜んでいる様子や、普段は負けん気・強気一方という印象の菅井八段が、ベテランの強豪棋士郷田九段・深浦九段の前では、気を遣ったり、(負けて)へこんだ姿を隠さなかったりなど、普段のイメージと違った表情が見られるのも、興味深かった。
今回、永瀬王座の、チームメイトの屋敷九段への態度がよくないと不評もあったようだが、永瀬王座自身もそのことは知っているようで、「(視聴者からの)コメントなどで結構いろんなご意見をいただいて考えさせられることが多かったです。」と述べている(【羽生善治×永瀬拓矢】将棋研究2.0 第71期王将リーグ特集 livedoor NEWS(livedoor は登録商標)2021年9月19日)(この記事は、他の王将リーグメンバーのインタビューもあり、面白かった)。
【羽生善治×永瀬拓矢】将棋研究2.0 第71期王将リーグ特集
予選の様子はあまり見ていないのだが、決勝トーナメントでのチーム永瀬の控え室動画などを見たところでは、永瀬王座と屋敷九段も、談笑するなどしていて、特に永瀬王座の態度が冷たいとかきついとか傲慢といった様子は特に感じなかったが。。。永瀬王座と屋敷九段は、VS(1対1での研究会)をしていた時期もあったということであるし、非公式戦とはいえ、強いこと勝つことを追求するということはどの棋士にも共通してある価値観でもあると思うので、お二人の間ではわだかまりは特にないのではなかろうか。
この永瀬王座への不評を意識してのことかわからないが、黒沢怜央五段が竜王戦挑戦者決定三番勝負の解説をしていたときに、「(永瀬王座は)人には優しい。自分自身に一番厳しい人なので」という話をしたり、文春オンラインの記事で、加藤桃子女流三段が父上を亡くされたときに、兄弟子の永瀬王座が(励ます意味で)研究会で指す機会を増やしてくれたことが力になったと語っているのを読むと、直接人柄を知る棋士同士と、世間からとでは見方も少し違うのかもしれないとも思った。
小学生時代に大会で対局
藤井二冠と伊藤四段は同学年で、奨励会に入る前に、小学生将棋大会(2012年1月、第9回小学館学年誌杯争奪全国小学生将棋大会)で対戦したことがあり、伊藤四段が藤井二冠に勝利したというエピソードでも話題になっていた。
この将棋大会のときに、高見泰地七段(当時四段)も審判として関わっていたということで、大会委員長であった森内俊之九段と一緒に写った写真を見て、縁のあるチームなんだなと思っていたら、優勝した後、チーム藤井の3人が解説の森内九段と一緒に写真を撮ったのが、ABEMAトーナメントのTwitterに載っていた(森内俊之の森内チャンネルの9月19日のTwitterにも、小学生大会のときの写真とともに掲載されている)。
森内九段と高見七段は、藤井二冠と伊藤四段の成長ぶりに感慨深かったことだろう。