地域にもよるが、そろそろ新米の季節である。
しかし今年は、各地で豪雨、台風や地震などの災害があり、損害を被った生産者の方もいるだろう。1日も早い復旧、復興をお祈りする。
さて、7月に静岡県に行ったとき、登呂遺跡に寄ってみた。登呂遺跡は、弥生時代の集落、水田の遺跡である。小学校の社会科の教科書などに載っていたので名前は聞いたことがあるが、これまで行く機会はなかった。今回も、行く前には登呂遺跡のことはまったく念頭になかったのだが、静岡市内を走行中に道路の案内標識に「登呂遺跡」とあるのを見て、
この近くなんだ! 行ってみたい!
と急遽立ち寄ることにした。
登呂博物館 登呂遺跡 静岡県静岡市駿河区登呂
開館時間 9時~16時30分 月曜休館 入館料 通常期 一般300円 小学生50円 ※2018年7月現在。アクセス、休館日、開館時間、料金等の詳細は公式ホームページで要確認
火おこし体験
到着すると、住宅地の中にある史跡公園である。再現された竪穴式住居と高床式倉庫があるのが車の中からも見えた。
駐車場に車をとめ、まずは登呂博物館へ。きょろきょろしていると、職員の方と目があい、「初めてですか」と声を掛けられた。火おこし体験が3時までだが、今ならまだ間に合うということだったので、やってみたいと思った。
体験場所である高床式倉庫の下へ向かうと、小学生らしき子が2人、まさに火を起こしているところだった。その子たちが去った後、もう終了時刻に近かったのでためらっていると、快く招き入れていただいた。息子は小学校低学年で、一人だとちょっと無理かなということで、大変そうなら夫が手伝うことにした。
火おこしの道具の横棒を上下させて、ロープで縦の棒を回転させ、摩擦熱で火種をつくり、麻の繊維にくるんで吹いて炎にするという手順。
煙が出ても火種にならないこともあり、何度目かでやっと成功。やった!
係のボランティアの方にお礼を言い、何となく達成感に満たされながら、高床式倉庫の下から出る。
後で調べてみると、この道具で火をおこすのは、「マイキリ式(舞きり式)」という方法だとわかった。
再現された竪穴式住居など
形がモンゴルなどの遊牧民のテント風だななどと思いながら、竪穴式住居の中に入ってみた。中は意外と広い。一番大きな住居には、中に煮炊きのできる炉も再現されている。
高床式倉庫のような造りの祭殿もある。かなり大きい建物だ。
高床式倉庫には、「どこから入るの?」と息子。たしかに、祭殿は入り口のような部分があったが、高床式倉庫は入り口がよく分からない。一回りして眺めていると、先ほどの火起こし体験のボランティアの方が教えてくれた。建物の妻側にはしごを掛けて上り、縦にはめてある壁の板を取り外すということだ。最初に外す板には、縄で持ち手を付けてあったらしい。博物館の中に、中を見られるようにした模型があった。
せっかくなので、博物館にも入ってみた。
発掘された様々な道具や、土器などが展示されていた。博物館内にも、復元された祭殿があり、中に入ることもできる。
外の水田の跡地の一部には、稲が植えられていた。葉が黒っぽい稲は古代米だろうか。
日差しは暑いがさわやかな風が吹いていた。水田の跡地を眺めながら、ここは居住に適した場所だったのだろうなと、しばし古代の光景を思い浮かべた。
登呂遺跡、寄ってみてよかった。