スピリットオブフリーダム Spirit of Freedom 2002年 イギリス David Austin
根頭癌種病だった株
スピリットオブフリーダムは、2017年6月に大株を購入し、その年の秋には何輪か咲いたが、翌2018年の春は殆ど芽が出ずに枯れ込み始めた。おかしいな、剪定で短くしすぎたかな、と思っていたのだが、小さな芽が1本出たのを大事にしていたところ、夏に根頭癌腫病のこぶを発見。殆ど芽が出なかったのはそういうことだったのか、と腑に落ちた。この経過は別記事にも書いた。
根頭癌腫病になったバラは株ごと廃棄するのがセオリーだが、あの小さな芽がこんなに育ったのにと思うと廃棄するにしのびず、こぶを取り除いて、そのまま植えておいた。他の人には薦めないが、まあ自己責任ということで。
こぶをとった2018年の夏以降は、8月までの暑さと9月末の台風24号の暴風で弱ったのか、黒星病で元気がなくなり冬を迎えた。
スピリットオブフリーダムは伸ばして誘引するつもりだったので、冬剪定では枝先を少し切って葉を落とす程度。それも春になってからくらいだった。
復活
今年2019年はどうなるかと気にしていたところ、他のバラよりも最初の動きが遅かったが、芽がどんどん出て葉も花芽も出て、大きく繁ってきた。
こんなに伸びて繁るとは。昨年とは見違えるようだ。
優美な花
花もあまり期待していなかったのだが、花弁ぎっしりのピンク色の花が咲いた。花弁が多いせいか、一番花は蕾が膨らんでから咲くまでに少し長くかかった。
こんなに花弁が多いのに、日当たりのよい場所だからか、意外とボーリングせずに開花する。
いや、元気いっぱい。
花は、思ったよりもベビーピンクな色合いだったが、咲き始めや少し褪色したときのライラックを帯びた色合いが美しい。ディープカップ咲きだが、花によって色合いも咲き方も少しずつ異なるのが面白い。とにかく花弁ぎっしりで面白みがない咲き方のこともあるが、非常に整った咲き方のこともある。
花弁が多いうえに、房咲きで、花付きもよい。花持ちは、イングリッシュローズにしてはよい方だが、まだ大丈夫そうに見えて、散るときにはばっさり散る。花弁が多いので、掃除が大変である。
蕾がみな開くとこんな感じ。先に咲いた花は少しいたんでくる。
開花が進むと花弁の多さがわかる。
樹形も、自然な雰囲気で伸びるが、横張りではないので、まとまりがよい。葉の大きさや密度も、混みすぎず、まばらでもなく、ちょうどよい。
一番花の後
一番花の後も、休みなく次の花が咲く。
シュートも、根元近くからも途中からも何本も出てきて、どれもよく伸びて花を咲かせる。
一度に咲くのはそれほど多くはないものの、花が途切れる時期がないほどである。
しかも、暑い時期の花は貧相になる品種が多いが、スピリットオブフリーダムは、梅雨も夏も一番花と遜色のない美しさである。甘い香りもはっきりわかり、いうことなしというところだ。
香りは、フルーツ・ミルラ香と紹介されている。ミルラ香の特徴が今ひとつ分かっていないのだけれど、バラらしい香りである。
枝はよく伸びて、みるみるうちに、パーゴラの上まで達した。しかも、枝はしなやかで誘引しやすいが、ある程度の高さまでは直立するくらいにはしっかりしていて始末がよい。枝も多いので、思い通りに誘引できそうである。
今年、ここまで育ってくれるとは嬉しいオドロキである。
耐病性は強い方のようで、梅雨どきにウドンコ病が少し出て、蒸し暑い時期に黒星病が出てきたが、それほど葉を減らさずに比較的元気なまま夏を越した。暑い時期にもよく咲き、いくつかきた台風の後も元気そうである。
あの1本の小さな芽からここまで育ったと思うと、感慨もひとしおである。
予想以上に素晴らしい姿になりそうで、楽しみである。