レディエマハミルトン Lady Emma Hamilton 2005年 イギリス David Austin
銅色の新梢にオレンジ色の花
レディエマハミルトンの特徴は、新芽と若い葉が銅色であることだろう。濃い緑色の葉に、若い銅色の葉、オレンジ色の花の取り合わせが目を惹く。
今年2018年は5月7日頃咲き始めた。花付きは、今のところやや少なめ、花持ちは悪い方だと思う。
フルーツ香の強香種とあるが、今のところそれほど香りは感じられない。
我が家では、オレンジ色のバラはほかに、同じイングリッシュローズのレディオブシャーロットがある。このどちらか一方にするかどうかでかなり悩んだ。実物を見れば決められるかなと、バラ園で両方の実物も見てみたら、花自体はかなり似ていたので一層迷ってしまった。迷ったあげく、どちらも植えることにした。
下の画像はレディオブシャーロット。
植えてみると、花期も咲き方も樹形も異なるので、似ているとは普段思わないし、間違えることもない。花の色や形もよく見ると違いはある。名前はどちらもレディがついており言い間違えそうなので、普段はエマとシャーロットと呼んでいる。
逆に、普段全然違って見えるバラでも、写真に撮ったり切り花にすると似て見えることもある。自分の好みで選んでいるので、似たところがあっても不思議はないともいえる。
耐病性は強い方
レディエマハミルトンは、バラを植えてみようかと思い立って早い時期から候補に挙がっていた。参考にした本に掲載されていた写真が美しくて心に残っていたからだ。
美しく病気に強いバラ 選りすぐりの200品種と育て方のコツ(別冊NHK趣味の園芸) 2009年11月 NHK出版
候補には早くから挙がっていたものの、ずっと迷っていたのと入手しやすそうだったためレディエマハミルトンの購入自体は遅い方である。
なお、この本は2009年の出版なので最近の10年ほどの間に出たバラは紹介されていない。古いバラで入手しづらくなったものもあり、最近のバラは病気に強いものも多いので、これからバラを始めようという人は最近のバラも考慮した方がよいと思う。しかし、最初は何をどう選べばよいかもわからなかったりするので、この本は今でも参考になるだろう。
2017年6月に、コマツガーデンの実店舗、ロサヴェールで大苗を購入。庭の西側のフェンス沿い、マルクアントンシャルポンティエとアイスバーグの間に地植えした。日照を好むという情報があったので、日当たりのよい方の場所である。
植え付けてからは特に問題はないが、成長はあまりはかばかしくもない。比較的コンパクトに育つようであるし、病気にもならないが、それにしても一番花の後は元気がないようにみえる。株の中の方が混みやすいので、様子を見て、育ちの悪い枝は間引いている。
耐病性は、黒星病にもウドンコ病にも強いとされているとおり、病気にはなりにくい。左隣のマルクアントンシャルポンティエがウドンコ病になっていても、レディエマハミルトンはならない。病気に強い品種は本当に助かる。
ネルソン提督の愛人の名から
レディ・エマ・ハミルトンの名は、エマ・ハミルトンという美女(1765-1815)にちなんでいる。エマ・ハートはイギリスの労働者階級に生まれたが、その美貌により絵画のモデルなどとして社交界でも有名になった。ウォリック伯の息子チャールズ・グレヴィルの愛人となり、その叔父にあたるかなり年上のイギリスの外交官サー・ウィリアム・ダグラス・ハミルトンと結婚した。「レディ」をつけて呼ばれるのは、この結婚によるものだ。その後出会った、イギリス海軍のホレイショ・ネルソン提督と恋に落ち、その愛人として有名である。
映画 That Hamilton Woman 1941 イギリス(邦題 美女ありき)は、レディ・エマ・ハミルトンとネルソン提督の不倫の恋を描いたもので、ヴィヴィアン・リーとローレンス・オリヴィエが主演である。
また、肖像画家ジョージ・ロムニーは、チャールズ・グレヴィルがエマの肖像画を依頼したのをきっかけにエマに夢中になり、多くのエマの肖像を描いた。私も、1998年に上野のテートギャラリー展でロムニーの描いた絵、Emma Hart as Circe (キルケーに扮したエマ・ハート:キルケーはギリシア神話に登場する魔女(ニンフ))を見たことがあるが、その絵のエマの魅力は印象に残っている。
Emma Hart as Circe ジョージ・ロムニーの描いた、キルケーに扮したエマ